先週、本コラムで「抜本的なワクチン接種体制の見直しが必要」と2度にわたって強調しました。
(「ワクチン接種でトンデモミス、中身が生理食塩水だった」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65302)
(「大丈夫かワクチン接種:生理食塩水の次は使用済み注射器再使用」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65374)
果たして、今週に入ると起こるべくして起こる「薄いワクチン」事故が相次いで報じられています。それも、いまのところほぼ連日発生する形になっています。
ここで、極めて誤解を生みやすい変な用語が使われている。この「薄いワクチン」とはいったい何か?
本稿では末尾で「水増しワクチン」のリスクを検討していますが、報じられているのは「水増し」の水準にも達しない、ただの「水」に過ぎないのが実態と思われます。
少し考えてみてください。仮に、家で醤油の瓶が空になったとしましょう。それを燃えないゴミに出すとき、液だれするといけないので念のために瓶の中に水を入れて洗浄したとして、その廃水を「薄い醤油」と呼ぶでしょうか?
瓶の中を洗った後の「水」に、瓶内に付着していたごく少量の醤油が溶けているだろう水は、あくまで水であって、醤油ではないない。
万が一、これを「薄い醤油」と呼べるのなら、カラになったウイスキーの瓶を水洗いして、その廃水を「薄い水割り」と称して販売するのと変わらない。
そんな水割りを売った店があったら、何が起きるか考えてみるとよいでしょう。ロクなことにはなりません。
不思議な報道造語「薄いワクチン」は、まずこれと同様の状況です。「ワクチン」と呼ぶのは間違いです。
ごく少量のワクチンが付着した瓶を洗浄した「生理食塩水」を、あちこちの接種会場で注射しているというのが実情と考えておくのが無難と思われます。
5月24、25日と立て続けに判明した「薄いワクチン」、もとい「ワクチン風味の生理食塩水接種」事故の実際を確認していきましょう。