尹錫悦氏の大統領候補としての人気が高まった結果、同氏が「尹錫悦新党」を旗揚げすれば支持率が1位となるとの予測も出ていた。

「政治未経験」尹錫悦氏、大統領候補としての資質はあるか

 突如として次期大統領選の先頭に立ったかに見える尹氏だが、達弁で政界要人にも太いパイプを持つという評価がある一方で、これまで政治経験がなく、大統領として適任なのか、大統領の職務を遂行できるのかとの疑問を提起する向きがある。

 この疑問に対し、「問題ない」と評価しているのが政界の黒幕・尹汝ジュン(ユン・ヨジュン)元環境部長官だ。尹元環境部長官は今年3月に「中央日報」のインタビューで「総長を辞める前に憲法精神、法治主義、国民常識を話すタイミングやメッセージ内容を見て、政治感覚があると思った」とし、尹前検事総長が「国民の力」入りすれば、との条件付きだが、「当選の可能性が高い強力な大統領候補」としている。尹汝ジュン氏は2002年の大統領選では保守政党ハンナラ党の大統領候補・李会昌氏の陣営で、そして2012年の大統領選では民主統合党候補だった文在寅氏の陣営で仕事をしている。さらに2016年には、安哲秀氏が立ち上げる中道政党「国民の党」の創党準備委員会共同委員長も務めるなど、与野党間を渡り歩く「策士」として知られる。それだけ各党の事情に通じている人物の評価だけに、その言葉は一聴に値する。

 尹前検事総長にとっては、「国民の力」とどれだけ共同戦線を張れるかが大きなカギになりそうだ。そうした中、野党国民の力の中から尹錫悦氏のキャンプに入ると噂される人も出てきている。