与党では本命・李在明氏の「文在寅派接近」が本格化
さて、与党「共に民主党」サイドの情勢はどうなっているのか。
世論調査でリードしている李在明・京畿道知事は、親盧系・親文系幹部との接触を強化し、支持地盤拡大に本腰を入れている。
李知事は、京畿道高陽市で開かれた「2021非武装地帯(DMZ)フォーラム」で、李海チャン(イ・へチャン)元民主党代表、韓明淑(ハン・ミョンスク)元首相ら親盧・文系の「外交安保通」とともに参加した。DMZフォーラムは京畿道が毎年主宰している。
今回は李海チャン元代表が理事長を務める東北アジア平和経済協会と初めて共同主催した。李元代表は「平和経済協会とフォーラムを主催し、基調演説までして下さった李知事に感謝する」と述べた。
李知事は党内の基盤が弱いとされるが、東亜日報によれば、「李元代表の水面下での支援を受け、最近、親盧・親文の人々との接点を拡大している」という。与党関係者の中には、「今回のフォーラムを機に、李海チャン系が李知事への支援に積極的に加勢する可能性がある」と見る者もいるという。
フォーラムには林東源(イム・ドンウォン)元統一部長官、李仁栄(イ・インヨン)統一部長官らも出席した。
李知事は基調演説で、「対北朝鮮ビラ散布は犯罪行為」「より多くの自由と人権のために自由と人権を脅かす自由は制限されて当然だ」と強調し、文在寅政権の対北朝鮮政策を擁護した。
李知事は文在寅大統領との関係があまりよくないとされる。
そうした背景があるために、無所属で野党系の洪準杓(ホン・ジュンピョウ)氏などは、「李知事が大統領になれば文大統領は1年内に監獄入りする可能性がある」と述べている。それだけに親文系の人々は、李在明知事に対する警戒感が強い。李知事もそうした空気を察しているからこそ、先述のフォーラムの席で、文大統領の政策を持ち上げ、親文系の人々の警戒心を解こうとしているのだろう。
また、「国民の力」の代表に若くて改革派の李俊錫氏が当選すれば、大統領選では野党に追い風が吹きかねない。そうした懸念が与党内に高まってきているだけに、世論調査で独走状態にある李在明氏を与党の大統領候補に推す動きが加速化する可能性もある。
その意味でも、李在明知事の親盧・文系への接近の動きが注目される。