バイデン米国大統領と文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領との初の首脳会談が、韓国民から高く評価されている。5月26日にリアルメーターが発表した世論調査によると、回答者の56.3%が「会談結果が良かった」と肯定的に評価し、否定評価(31.5%)を大きく上回った。米韓首脳会談直後となる5月最終週の大統領支持率も急騰。リアルメーターが5月31日に発表した大統領支持率は39.3%と、前週と比べて4.4ポイントも上昇した。
半導体とワクチンを「スワップする」戦略だったが
「最高の歴訪であり、最高の会談だった」
「会談結果はこの上なく良かった。期待以上だった」
文在寅大統領は、米韓首脳会談を終えた5月22日、自分のSNSで、期待以上の成果を得たと自画自賛した。このような高い自己評価の理由として、大統領からは米国から「2つのサプライズ」があったと述べた。一つはワクチン・パートナーシップと韓国軍55万人に対するワクチンの直接支援、もう一つはバイデン大統領によるソン・キム北朝鮮政策特別代表の任命だった。
ただ、およそ44兆ウォンにも上る民間投資というプレゼントを手に米国に渡った文在寅大統領には、あらかじめ「成功」が約束されていたと言ってもいい。そのため文大統領の訪米前から、韓国では、対北朝鮮政策に対する協力以外にも、コロナワクチン確保を期待する声が高かった。だから米国政府が、8000万回分のコロナワクチンを海外に提供すると発表すると、韓国の世論は、「44兆ウォンのプレゼントの身代わりに、少なくとも1000万回分のワクチンは受け取ることができるだろう」と予測していた。鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官や大統領府も「ワクチンスワップ(先に米国からワクチンを借りてきて、韓国が後で返す方式)が首脳会談の議題に含まれるだろう」と述べ、国民の期待を膨らませた。グローバル半導体企業のサムスン電子やSKハイニックスなどのCEOを首脳会談に同行させることも、「韓国の半導体と米国のワクチンとをスワップしようとする戦略だ」という推測を生んだ。
その期待に比べれば、実際の成果は決して大きなものではなかった。