5月21日、ホワイトハウスで首脳会談を行った後共同記者会見に臨むバイデン大統領(右)と文在寅大統領(写真:ロイター/アフロ)

 5月19日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領がバイデン米大統領との初の単独首脳会談のために米国を訪問した。文大統領の訪米の形式は、日本の菅義偉首相と同じく、「公式実務訪問」だったが、訪米の日程は菅首相より1日長い3泊4日となる。

「公式実務訪問」では珍しい3泊4日

 通常、国家首脳の外遊の形式は「国賓訪問」→「公式訪問」→「公式実務訪問」→「実務訪問」の順で分けられる。このうち、公式実務訪問は、国賓訪問や実務訪問に比べて儀典が大幅に縮小される。すなわち、空港儀典が省略され、各種公式行事もぐんと少なくなるため、滞在時間が短縮できる。各国首脳の公式実務訪問の日程は2泊3日間が多い。

 だが18日、韓国大統領府が発表した文在寅大統領の公式訪米日程は次のようだ。

・19日 午後 米ワシントンに到着
・20日 午前 アーリントン国立墓地に献花
    午後 米議会訪問(ナンシー・ペロシ下院議長らと懇談会)
・21日 午前 ホワイトハウス訪問
    午前 カマラ・ハリス副大統領と面談
    午後 バイデン大統領と米韓首脳会談後、共同記者会見
    午後 韓国戦争記念公園を訪問、韓国戦争戦死者追悼の壁着工式に出席
・22日 午前 ウィルトン・グレゴリー枢機卿と面談
    午後 ジョージア州にてSKイノベーションのEV用バッテリー工場訪問
    午後 韓国へ向けて出発(以上米国時間基準)

 一部の韓国メディアは公式訪問に負けない「ハードな日程」と称えたが、筆者にはハードどころか、むしろ緩すぎると思われた。一分一秒を節約しなければならない国家首脳が、特別な公式日程もなく首脳会談の二日前に現地に着いて、一日平均二つの日程をこなすスケジュールとは、いくらコロナ禍だとはいえ、大変異例的に思われたのだ。