2人の元首相が「東京オリンピックボイコット」を主張する背景
与党内の大統領候補レースで優位に立つ李在明知事と対照的に、2人の元首相が追い詰められている。2人とも次期大統領にふさわしい人物を問う世論調査で李在明知事に大きく水をあけられており、竹島問題をテコに巻き返しを図っている。
最近、国務総理(首相)を辞任し、大統領選出馬の準備を進めている丁世均氏は、東京五輪パラリンピック大会組織委員会がホームページ上に、「独島」(韓国が主張する竹島の名称)を日本の領土とする地図を掲載していることを批判し、「(削除を)最後まで拒否するならばオリンピック不参加などすべての手段を総動員しなければならない」と主張した。
また、元首相で前党代表の李洛淵氏も「独島を直ちに削除することを求める」「日本のこのような行為は人類の和合を追求するオリンピック精神に反する」と述べ、IOCに対しても「迅速かつ断固たる措置を要求する」と圧力をかけた。
これらはいずれも大統領選での与党候補になるため、世論の受けを狙った発言と見るべきだ。
だが最近の傾向として、韓国国民の対日感情は決して悪くはなく、反日で世論の支持を獲得することはできない。ただし、竹島の問題だけは例外である。
韓国人は盧武鉉大統領が「竹島は領土問題ではなく、歴史問題(日本の朝鮮侵略の第一歩)」と主張したことに誘導され、竹島の問題で日本が主権を主張すれば激しく反発する。オリンピックの機会に日本が竹島問題という政治を持ち出すのを批判すれば、韓国内では共感を生む可能性が大いにあるのだ。
支持率で李在明氏に水をあけられている2人の元首相が、竹島問題をテコに支持率の回復を図ろうとしても不思議ではない。日本としては要注意だ。しかし、本命視されつつある李在明知事は親盧・親文系へ接近を加速させるだろう。両元首相の「竹島」発言の効果は限定的かもしれない。