(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)
なんとも自動車産業はカバーする事業領域が幅広いものだ。
トヨタ自動車とスバルが2021年4月5日にオンラインで開催した、小型スポーツカー「GR86」(ジーアール・ハチロク)と「BRZ」の発表イベントを見ながら、改めてそう感じだ。
イベントは両社から、事業を取りまとめる役員のほかエンジニアや実験部門関係者などが参加して、アクリル板を立ててのトークショー形式で行われた。
登壇者の話の中で、カーボンニュートラル、SDGs(持続可能な開発目標)、ESG投資(環境・社会性・ガバナンスを考慮した投資手法)、CASE(コネクテッド/自動運転/シェアリングなどの新サービス/電動化)といった“旬”のキーワードはまったく出てこなかった。
その代わり、ドライバーの気持ち良さ、ボディスタイリングのカッコ良さ、シート裏地などインテリアへのこだわりなどに話題を絞り、「86(ハチロク)とBRZのファンの皆さんが笑顔になってくれることを目指した」という言葉のとおり、ピンポイントのユーザー層に向けたメッセージをトヨタとスバルは送り続けた。