ホンダが開発した自動運転レベル3「レジェンド」の発表会の様子(2021年3月4日、写真:ロイター/アフロ)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 走りを徹底的に追求したホンダの名車が、またひとつ姿を消す。

 軽スポーツカー「S660」が2022年3月に生産中止となる。専用カスタマイズを施したコンプリートカー「S660 Modulo X」(モデューロエックス)の2021年3月12日発売とあわせて、ホンダが発表した。

 S660は2015年4月に発売され、累計販売台数は約3万台。排気量660㏄という軽自動車規格ながら、走りはホンダ最上級スポーツカー「NSX」に勝るとも劣らない、ホンダのレーシングスピリッツが集約されたスポーツカーだ。

ホンダ「S660 Modulo X」(写真提供:ホンダ、以下同)

カーボンニュートラルへの対応を迫られる自動車業界

 生産中止の理由についてホンダ広報部に問い合わせたところ、「今後も継続的に販売するため法規制への対応を検討したが、残念ながら生産終了という判断に至った」との回答だった。2022年から順次始まるとされる騒音規制、燃料蒸発ガスの排出規制、安全関連などに関する各種法規制への対応が難しいという理由らしい。