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 日経平均株価が一時、3万円を突破し、実体経済との乖離が激しくなっている。株価上昇によって資産家は富を増やしており、コロナ危機であるにもかかわらず高額商品が飛ぶように売れている。現在の株価高騰は、量的緩和策による金余りとポストコロナ社会(デジタル化社会)への期待感が交錯した構造的なものであり、しばらく継続すると見る市場関係者は少なくない。もしその見立てが正しければ、資産の有無による格差が今後、さらに拡大する可能性がある。(加谷 珪一:経済評論家)

宝飾品や貴金属の販売が絶好調

 昨年(2020年)10月まで2万3000円前後で推移していた日経平均株価は2月に入ってとうとう3万円の大台に乗せた。米国を中心に全世界的な株価高が続いており、日本市場もその流れに乗った格好だ。その後、株価は米国金利の上昇などもあって調整に転じているが、大幅な下落には至っていない。

 株価が上昇すると資産効果によって富裕層を中心に高額商品の消費が増えることは経験則的によく知られているが、今回もそのパターンが当てはまるようだ。

 日本百貨店協会によると2020年12月における飾品・貴金属の売上高は、他の商品が軒並み大幅なマイナスになっているにもかかわらず2%の増加となった。百貨店における宝飾品・貴金属の販売実績は富裕層の消費動向を示す有力な指標のひとつといわれており、大抵の場合、株価や不動産価格と連動して消費が増える。

 首都圏における新築マンションの平均販売価格も上昇しており、2020年はとうとう6000万円を突破した。コロナ危機で開発案件が減り、その分だけマンション供給も減ったが、高額物件を中心に消費者の購入意欲は強く、逆に価格が引き上げられている状況だ。