テストマーケティングの場としてクラウドファンディングを活用する企業も増えているが、必ずしもうまく使いこなせているとは言えない(提供:PantherMedia/イメージマート)

(山下 貴史:クラウドファンディングコンサルタント)

コロナ禍で急成長するクラウドファンディング市場

 コロナ禍においても急成長しているクラウドファンディング。ニュースなどで耳にする機会も増えてきたのではないか。私がクラウドファンディングのコンサルティングを始めてから、わずか3年の間でも、一つひとつのプロジェクトに集まる金額、ビジネスとして軌道に乗せる方が増え続けている。最近はテストマーケティングや在庫リスクの軽減などの目的で、企業からの関心も高い。

 だが、クラウドファンディングが浸透するにつれて、「どのように活用すればいいのか?」「うまくいかない例もあるみたいだし」と二の足を踏む声もよく聞こえてくる。

 もちろん、うまくいっているプロジェクトばかりではないが、失敗したプロジェクトも「このポイントを押えていれば、もっとうまくいったはずなのに」と思うことがしばしばある。そこで本記事ではクラウドファンディングとは何か、簡単に解説したあと、企業での活用事例とハマりがちな間違いについてお伝えしたいと思う。

 私は6年前に、まだ日本で知られていない海外製品を輸入し、日本で販売する会社を興した。とはいえ、いったいどうすれば製品を消費者に知ってもらうことができるのか・・・。 そこで、新商品のPRや販促として消費者に届けるために試してみたのがクラウドファンディングだった。

 そして、コツをつかんだ私は、徐々に数百万円以上の支援を集めるプロジェクトを打ち出せるようになり、成功実績も積み重なっていった。その経験と培ってきたノウハウをもとにコンサルティングを始め、今ではクラウドファンディング国内大手のMakuake(マクアケ)でエバンジェリストに任命され、企業のプロジェクトを成功に導くお手伝いしている。

 クラウドファンディングとはクラウド(群集)とファンディング(資金調達)を組み合わせた造語で、株主などではない不特定多数の人々から広く行うという意味では寄付に似ている。インターネットの普及と合わせて急成長したサービスである。

 日本では東証マザーズ上場を果たしているMakuakeを筆頭に、CAMPFIRE、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループが運営するGREEN FUNDINGといった、支援者にモノやサービス、体験や権利などが返ってくる購入型プラットフォームが有名だ。他に寄付型や投資型など性質の異なる小規模なものもあるが、日本ではTVCMなどの効果もあり、購入型を思い浮かべる人がほとんどだと思う。

 コロナ禍においても日本での購入型クラウドファンディング市場の成長はめざましく、2019年1月~6月期の市場規模は77億円程度だったが、2020年1月~6月期は223億円と3倍近く急成長している(参考資料)。既に販売業に従事するすべての会社にとって見過ごせない市場と言っても過言ではない。

 それでは、企業はどのようにクラウドファンディングを活用しているのだろうか。