米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、米グーグルと米フェイスブック(FB)は米当局の反トラスト法(独占禁止法)調査に備え、事前に相互協力を申し合わせていたという。
「調査の引き金になると認識」
同紙が入手したという訴状草稿を基に12月22日に報じた。これに先立つ2020年12月16日、米テキサス州などの10州の司法長官が反トラスト法違反の疑いでグーグルを提訴した。広告配信サービスにおいて、グーグルがフェイスブックに対し競合技術・事業の立ち上げを断念する見返りとして、同社を優遇したと疑っている。
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12月16日に公開された州当局の訴状は、ネット広告市場で競合するグーグルとフェイスブックが談合したと指摘したが、多くの箇所が黒塗りされており、その根拠が不明瞭だと言われていた。だが、ウォール・ストリート・ジャーナルが入手したとする黒塗り修正のない訴状草稿で詳細が明らかになったという。
それによると、グーグルとフェイスブックは2社間の契約が当局による反トラスト法調査の引き金になることを認識し、事前に「相互協力・支援」で合意。その後予想される当局の行動を「迅速かつ完全に互いに報告し合う」ことを確認していたという。
2社の契約、価格カルテルか
2社間の取引は、「4年目からフェイスブックがグーグルの広告競売サービスに年間5億ドル以上を支出することを約束し、その代わりフェイスブックが一定比率の広告枠を落札する」というものだったと訴状草稿に書かれているという。2社はこの契約を2018年9月に締結したとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
グーグルとの契約に署名したのはフェイスブックのシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)とされる。その後同氏は、マーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)などの幹部宛て電子メールで、「これは戦略的に重要な取引」と報告したという。また、フェイスブックは社内文書で「直接競合するのに比べて安く済む」と報告したと、訴状草稿に書かれているという。