米大統領選で当選を確実にしたジョー・バイデン氏が2021年1月20日に大統領に就任した後も、米国の巨大テクノロジー企業に対する米政府の規制・監視強化方針は変わりがないと、米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。
かつてはホワイトハウスと良好な関係
バイデン氏が副大統領を務めたオバマ政権時代、ホワイトハウスとテクノロジー大手は友好的な関係を持っていたという。オバマ政権は米グーグルなどの巨大企業を反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴することもなかった。
また、黒人・女性として初の米副大統領に就くことになったカマラ・ハリス上院議員には、米フェイスブックのシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)や米セールスフォース・ドット・コム共同創業者で会長兼CEO(最高経営責任者)のマーク・ベニオフ氏といった支持者がおり、米民主党新政権とテクノロジー大手は相性が良いよう思える。
しかし、バイデン氏はオバマ前大統領よりも手ごわい人物で、巨大企業の反競争的行為に厳しい姿勢を示しているという。GAFAとも呼ばれるグーグルや米アップル、フェイスブック、米アマゾン・ドット・コムの4社は、とてつもなく大きなリスクを抱えることになるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
同紙によると、GAFAなどのテクノロジー大手はかつて米経済の成長エンジンとして受け入れられ、サクセス・ストーリーの例として歓迎されていた。しかし今は、民主党・共和党の両議員ともに、その巨大な影響力に懸念を抱いている。
新政権が引き継ぐグーグル反トラスト法訴訟
米司法省と11州の司法当局は10月20日、グーグルが検索サービスと検索広告の市場で、非合法に独占力を維持し、反競争的かつ排他的な行為をしたとし、首都ワシントンの連邦地裁に提訴した。
司法省などは、(1)競合の検索サービスの初期搭載を禁じる独占契約をスマートフォンなどのモバイル端末やパソコンのメーカーと結んだ、(2)自社の検索アプリをモバイル端末のメーンとなる場所に配置・表示するよう要求し、消去できないようにした、(3)人気ウェブブラウザー「Safari」などで自社の検索サービスを標準に(事実上排他的に)するよう求める長期的な契約をアップルと結んだ、などと批判している。