11月4日、衆議院予算委員会での菅義偉首相(写真:つのだよしお/アフロ)

(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 菅義偉内閣が発足してから3カ月が過ぎた。

 それで日本が大きく変わったことといえば、新型コロナウイルスの感染者と死者が増えたことだ。

「勝負の3週間」で“完敗”

 単純に数値を比較してみる。

 内閣が発足した9月16日には、全国の新規感染者が551人だったが、12月16日には2993人だった。翌17日は3211人と過去最高を記録している。

 東京都だけを見ても、163人が678人となり、翌17日には822人と、こちらも過去最高を記録している。

 いずれも右肩上がりの増加で、それで医療現場が逼迫する。

 また、死者は9月16日に13人だったものが、3カ月後には53人と、前日15日と並んで過去最高を記録している。

 今年2月13日に新型コロナウイルスによる初めての死者を出してから12月16日までの死者数は全国で2768人だが、そのうち菅政権が発足してからは1288人と、それまでの7カ月間と比較してわずか3カ月間で46.5%を占める。

 奇しくも同じ16日は、いわゆる「第3波」の襲来で、政府が感染対策強化の「勝負の3週間」と位置づけてから、3週間が経つ日だった。しかし、感染者は減るどころか、むしろ歯止めがかからなくなっている。

 つまり、勝負に負けたことになる。政府の敗北。

 その状況に慌てたように、直前の14日には菅首相がGo To トラベルを全国一律で停止することを表明している。菅首相が前政権の官房長官時代から肝煎りで進めてきたはずのものだ。