国際金融都市構想が与える影響

 10月13日、菅首相は国際金融都市構想を大阪都構想推進派が取り上げれば大きなプラスとなる述べた。国際金融都市の旗印を上げ続けるだけの東京都にしびれを切らしたということかもしれないが、大阪と福岡(大阪府と福岡県、大阪市と福岡市のどちらと言っても良い)を含めて、三都で競わせるというのだ。

 大阪都構想推進派の最大の弱点は、大阪都実現後の具体的な景気浮揚策が少ないことである。

 例えば、大阪は新型コロナ前までインバウンド消費で息を吹き返していたが、観光業は、観光客を相手とするものなので、中国や韓国が訪日を禁止すればそれでおしまいである。また、京都や奈良には観光需要を深掘りするインフラが多数あるものの、大阪に多くあるとは言えない。

訪日客数の激減で閑古鳥が泣く道頓堀(写真:UPI/アフロ)

 しかも、飲食・宿泊サービス業の一人当たり年間付加価値額は225万円と製造業の718万円と比べて極端に少ない。これは、東京、大阪、愛知、福岡の所謂4つの大都市を抱える都府県の平均で、他の道府県平均よりは高いのだが、インバウンドの効果絶大とは言っても、月間あたりでは大阪府民の多くが潤っていなかったことが分かる。

 これに対して、昭和時代までの大阪には、住友銀行(現三井住友銀行)、三和銀行(現三菱UFJ銀行)、大和銀行(現りそな銀行)を中心とした金融機関が核となり、関西を地盤とする大手企業グループもあったため、日本が得意なコングロマリットによるビジネスモデルが存在した。

 平成時代が始まる頃には、東京一極集中への批判から、大阪への遷都論があり、株式先物取引も東証に先駆けて大阪証券取引所が「大証株先50」を始めるなど、一時的な盛り上がりがあったが、結局は長続きしなかった。

 しかし、菅首相の一言で、大阪にそれを今一度トライできるチャンスが来たのである。

 今の時代、金融業はインフラ産業である。為替、株式、債券などの取引所の整備のみならず、それを取引する会社も含めて必要なのは、ビッグデータを保存する場所と、大阪に地震があった時に退避して取引を維持するバックアップ施設である。

 仮に金融機関などの集積が始まれば、現在の大阪市北区から南区にかけて本社機能を置くビルの需要が増える。そのデータを管理するのための場所としては、関空の先にある泉南市や阪南市、または河内長野市などに行けば、かなりの安価な不動産がある。奈良県や和歌山県までの広域で考えてもいいだろう。

 しかも、金融業の平均給与は他の業界より高いので、同産業従事者が増えれば、盛り上がりを見せた平成バブルの頃の時代の消費の復活も夢ではないかもしれない。香港からの脱出を図る金融機関が出始めている今、待ったなしで進めるべきである。

 大阪には、そもそも様々な商品取引所もあり、歴史を辿れば日本銀行も東京とは異なる公定歩合を使っていた時期もある。ポテンシャルがあるのだから、これを活かさない手はない。

 そして、これを実現する際には、新たなインフラ整備をするための許認可などを考えれば大阪都の方が間違いなくウェルカムだろう。3日もあればこの程度の青写真を作ることは可能なので、都構想推進派は取り組むべきだ。