選挙の勝者をあぶり出す応用ゲーム理論

 読者の中にはゲーム理論を知っている人も多いであろう。中でも「囚人のジレンマ」が有名だ。2人の共犯者が別々の部屋で白状を迫られる時、2人とも黙っていることが最適なのに、人間には相手を疑って自己の利益を追求する性があり、簡単にはそうならないというものだ。

 ゲーム理論とは、「パレート最適」や「ナッシュ均衡」など人間行動を分析してパターン化するものだが、逆に検証されたパターンを使えば人間の将来の判断を予想することも可能となる。

 筆者はこれまで、江戸時代からの強い慣習が支配する日本では、このやり方は通用しないと思ってきた。しかし、小泉純一郎氏が首相になった時の自民党総裁選は、応用ゲーム理論で想定した通りになったため、時代は変わったのだと感じた。

 その後、安部首相政権下の7回の選挙は、全て政治評論家の予想を聞く前に予想ができたほか、菅総裁の誕生も2019年5月の菅官房長官訪米を計算モデルに入れた段階で勝利が見えていた。

 その代わり、筆者は、日本政界での発生現象を愚直に取り上げることで、一つずつの事象の影響度をできるだけ平準化し、個々が極端に大きい影響を与えるパラメータにしないことを心掛けてきた。

 なお、近年においては、AI(人工知能)とビッグデータがあるので作業が簡略化している。また、多くのデータを入力できるので、将来予想の確実性も高まっていると考える。

 この中身を9月の自民党総裁選を使って簡単に説明すれば、石破支持者が協力より自己利益を優先させた一方、菅支持者は協力と自己利益が一致して安心した行動ができたため、大差がついたのだ。従って、石破氏が来年の自民党総裁選に出るつもりならば、その逆のための準備をすべきだということになる。

 応用ゲーム理論に基づくモデルで分析していると、様々な現象を科学的に分析し、計算した結果と、選挙に強いと言われる二階俊博氏や中村喜四郎氏が経験則でやっていることはかなり近いのではないかとと感じる。

 ゲーム理論で考える際には、パラメータとなる事象を可能な限りシンプル化する。本稿で触れている「大阪市がなくなる」ということも、大阪市議会の消滅や福祉サービスの劣化等まで含めて、全てがこれに集約されるからだ。

 実際の計算結果について語る前に、都構想の論点をおさらいしておく。