中国空軍の戦闘機や戦闘爆撃機が東シナ海で危険な行為を続けている(写真は中国の戦闘爆撃機JH-7、2020年9月3日撮影、China Militaryより)

 中国空軍は、東シナ海から南シナ海で、国際規範を無視して無謀で危険な飛行を繰り返し行っている。

 この危険な飛行は、主に我が国の領土である尖閣諸島上空を含む中国の防空識別区と日本の防空識別圏が重なり合う空域で行われている。

 ここで、中国の海空域であるかのように振る舞い、他国の飛行の自由を妨げるような行為をしているが、これは違法だ。

 中国軍は近年、軍事戦略上定めている第一、第二列島線、さらに中国本土から遠方での作戦能力構築を目指している。

 特に、第一列島線と重なるわが国周辺空海域では、訓練、演習、情報収集を頻繁に行っている。海軍艦艇、海・空軍機、中国海警局所属の公船や航空機など多数が確認されている。

 この活動には、中国公船によるわが国領海への断続的侵入や、領空侵犯、自衛隊艦艇・航空機への火器管制レーダー照射や戦闘機による自衛隊機・米軍機への異常接近などが含まれ、不測の事態を招きかねない。

 国際規範を無視した危険な行為を伴うこともあり、強く懸念される状況となっている。

 これらは、お互いが領域を主張する空域で行われているもので、中国空軍は、やめることなく、ひたすら継続している。

 もし、接触する危険性を回避するために、日本がこの空域から引き下がれば、中国は前に出る。そして、いったん進出したところから引き下がることはない。

 この結果、中国の領域が太平洋側に押し出され拡大される。中国が領域を拡大するための一環として行われている典型的な手法だ。

 現場では、航空自衛隊(空自)が極めて厳しい緊張感をもって直接これらに対応しているのである。

 中国は、どのようにして空領域拡大の実績づくりをしているのか。

 このために、中国軍機が、どのように、無謀で危険な飛行を行っているのか。

 そして、日本として中国軍にどのように対処すべきなのか。

 これらについて事例を紹介しつつ考察する。