通常戦力による抑止力と対処力への期待と戦い方

 では通常戦力による抑止力、対処力にはどこまで期待できるのであろうか。

 またイージス・アショアが配備されない場合のMD態勢の穴をどう埋めるのか、海上自衛隊の人員不足やイージス艦運用上の問題も解決されなければならない。

 この点については、空母などの大型艦艇はミサイルや無人機の集中攻撃を受け脆弱になるため、無人艇や無人機を大規模に導入して、多数の高機動の自律分散型小目標のネット―クで戦うことが必要になるであろう。

 この点では、米海兵隊の2030年を目標とした戦力設計構想が参考になるかもしれない。

 少子化に伴う自衛隊員の不足を補うには、陸海空ともに今後は、智能化された自律分散型兵器の大量運用による存存性向上と飽和攻撃という、新しい戦略概念の開発と装備体系の実用化が必要不可欠になるであろう。

敵基地攻撃能力の課題と核弾頭の必要性

 敵基地攻撃能力の保有も必要である。

 攻勢と防勢の両機能をバランスよく保有すれば、抑止力、懲罰報復力の自己完結性が高まり、より自立的で信頼性の高い抑止力、報復力を得られる。

 その意味で、イージス・アショア計画の撤回に伴い、敵基地攻撃能力の必要性が叫ばれているのは、当然のことと言えよう。

 しかし、敵基地攻撃を成功させるには、様々の要件が満たされねばならない。

 中でも最大の課題は、リアルタイムの確実な目標情報をどう得るか、また多くが地下深くに隠掩蔽された核ミサイル基地をどのようにして確実に破壊するかという点である。

 攻撃手段として、米国が開発中の核弾頭を搭載した長距離スタンドオフ巡航ミサイルなどの攻撃手段があれば、地下深部の目標も破壊でき、広域を制圧できるため目標の位置情報も極度の精密さを要求されなくなる。

 このような核弾頭の破壊力がなければ、今後の敵基地攻撃を実効あるものにし、信頼できる抑止力にするのは困難ではないだろうか。