攻撃側のミサイルが多弾頭化すれば、一度に多数の弾頭を迎撃しなければならなくなり、対処能力を超える「飽和攻撃」のおそれが高まる。

 また、機動型のかつ極超音速の弾頭に対しては、ロケット・エンジンの燃焼が終わった後の重力による落下軌道から未来位置を予測し、そこに迎撃ミサイルを誘導して直接命中させるという従来の方法では、迎撃が困難になってきている。

 北朝鮮も、不規則な軌道を描いて短時間で低高度から飛来するイスカンデル型の短距離ミサイルなど各種の短距離ミサイルの発射試験を、一昨年5月以降盛んに行っている。

 すなわち、イージス・アショアだけではなくイージス・システムそのものの有効性が問われている。

 しかもイージス・アショアの実戦配備には10年以上を要し、その間の軍事技術の進歩を想定すると配備された頃には時代遅れのMDシステムになっている可能性が高い。

 イージス・アショアのコスト優位性にも疑問が出ている。

 新型レーダーは開発途上であり、研究開発費の高騰が見込まれ、既存のシステムと異なるため教育訓練、維持整備もコスト高になる。

 また使用される「SM-3ブロックⅡA」は1発30億から40億円と言われ、1発数億円の一般のミサイルを主に搭載するイージス艦よりもミサイルの費用も考慮すると割安とは言えなくなる。

 予算上の制約で多数のミサイルが保有できなければ、飽和攻撃に対し脆弱になる。

 さらに、防空部隊や警備部隊の常駐配備にも費用がかかる。加えて、落下防止の改修費用も加算すると2基で総額1兆円程度のコストがかかると見積もられ、コスト面のメリットもなくなる。

 陸上自衛隊としても、既に「オスプレイ」などの高額米国製装備品をFMS(有償援助)で受け入れており、予算全般が制約され、現在でもヘリのパイロットの訓練時間が約3分の2に減り装備品の稼働率も低下している。

 そのうえイージス・アショアまで受け入れれば、予算の制約はさらに強まり、我が国独自の要求に基づく国産装備の調達予算は大幅に制約され、訓練不足による技量と即応性の低下、事故なども起こりかねない。