人口減少社会にあった規模まで撤退すべき

 つまるところ、地元の雇用をつくり、当面は不採算でも生活の糧を得る中で生産性を高め、地方自治体の再々編を進めながら、過疎地での居住を制限するなどして、電気やガス、水道、ネット、道路などのライフラインや公共インフラを削減していかざるを得ないでしょう。つまり、人口が減少する中で日本全体の「撤退戦」をしっかりと行うことが求められていると思うのです。

 観光業は現在目に見えている地方経済の衰退の症状の一つにすぎません。コロナウイルスの流行の結果、「持たない地方」が規律なく破綻し、崩壊することを避けるためにも、期限をしっかりと切った国有化・公社化の推進と地域金融機関の再編、また地方自治体の再々編のような抜本的な対策を打つ必要があると思います。政府のダボハゼ的な政策が効果を示すことはないでしょうし、野党が提案するような、ある種のポピュリズム的な政策も考慮されることなく消えていくでしょう。

 日本が自らの手によって日本全体を上手く救うために必要な議論とは、限りある財源・税収を合理的に使って国民の生活を守り、若い人たちに希望を持たせて出生率を確保しつつ、兵站計画を立てて「再起可能な縮小」をいかにして図るかということだと思います。あだ花のように見える「Go To トラベル」が描き出した問題を正しく受け止め、急激に高齢化の進む人口減少先進国として誇れる政策を描き出す必要があるのではないでしょうか。