海外旅行の総取扱額は対前年同月比で1%

 その不評際立つ「Go To トラベル」事案ですが、ここにきて、2020年3月以降、いかにコロナウイルス騒ぎが日本の観光業に壊滅的な打撃を与えてきたかということが分かるデータが次々と公開されて肝を冷やします。

 例えば、京都市の観光協会が発表している月例データでは、目を覆うような惨状が報告されています。

京都市観光協会データ月報(2020年5月)。アゴが外れるような数値が並んでいる

 インバウンドとしてあれだけ騒がれ、また一時期は「観光公害」であるとして京都観光に訪れる外国人観光客そのものを制限しようとまで言われていたのに、市内55ホテルの外国人延べ宿泊客数はコロナのお陰で前年同月比、なんとマイナス99.9%。「99.9%になった」のではなく「99.9%減少した」のですから、文字通り昨年に比べて1000分の1しか観光客が来なかった、ということを意味します。これはいったいどういうことなのかと思うぐらいにヤバいことになっています。

 日本観光の中心地である京都ですらこの惨状だということを踏まえたうえで、以下の観光庁が発表した我が国の主要旅行業者の旅行取扱状況速報(2020年5月度)を重ねてみましょう。

主要旅行業者の旅行取扱状況速報。こちらも惨憺たる数字が並んでいる

 緊急事態宣言が発布され、自粛期間中だったということも踏まえたとしても、この数字はさすがにヤバいわけですけれども、サマリーのところだけでもみてみましょう。

新型コロナウイルスの感染拡大による旅行の延期や中止の影響等により、総取扱額は海外旅行、外国人旅行、国内旅行各部門で前年同月と比べ大幅に減少した。

【海外旅行】 総取扱額は対前年同月比 1.0%となった。

【外国人旅行】 総取扱額は対前年同月比 0.2%となった。

【国内旅行】 総取扱額は対前年同月比 3.4%となった。

 ということで、こちらも海外旅行は「昨年比1%減ではなく、1%になった」、国内旅行は「昨年比で3.4%になった」ということになり、どう考えても壊滅的な打撃が日本の観光業界を襲っていることになります。