融資も受けられない石炭火力発電
石炭火力からの投資撤退(ダイベストメント)が世界的に相次いでいる。
2016年以降、米JPモルガン・チェースやドイツ銀行など、国外の大手金融機関がダイベストメントを表明しており、日本国内においても、2019年に三菱UFJFGが脱石炭を表明して以降、みずほFGと三井住友FGも今年に入って相次いで石炭火力発電への投融資禁止を明らかにした。国内における脱石炭火力の動きは、今後さらに加速することが予想されている。
ESG投資やSDGsといったサステナビリティを重視する考え方が欧州を中心に広がっている背景には、気候変動、自然災害、感染症といった地球規模の災害が、経済成長や社会問題へ波及している現実がある。そのため、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を多く排出する石炭火力に対し、国内外の投資家が石炭火力からのダイベストメントを表明する動きにつながっている。
こうした時勢の中で、石炭使用量を段階的に減らす脱石炭火力の手法として、また、既存の石炭火力発電所を活用した再生可能エネルギーのシェア拡大策として、バイオマス混焼が注目されている。
筆者はシード・プランニングの研究員として、石炭火力発電の現状と方向性について調査を実施した(レポートはこちら)。以下では、日本における石炭火力発電が取るべき方向性についてまとめたい。