韓国ソウルのサムスン電子本社(写真:AP/アフロ)

 サムスン電子の社長出身者が退任後に中国企業にスカウトされた。ありそうな話だが、韓国内で批判や懸念の声が出て4カ月で退社に追い込まれてしまった。

 韓国のIT業界内では話題になっていた人事だった。

 話題の人物は、サムスン電子出身の張元基(チャン・ウォンギ=1955年生)氏だ。延世大学の化学工業学科を卒業して1981年にサムスン電子に入社して以来、サムスン一筋で出世を重ねた。

ソニーとの合弁会社の社長も歴任

 1990年代以降は液晶パネル(LCD)事業に主に携わった。96年に役員に昇格するなど出世コースに乗っていた。

 日本との馴染みの深い人物でもある。

 2004年、サムスン電子とソニーは、韓国にLCD合弁会社「S-LCD」を設立した。この会社にサムスン側から派遣され、社長兼CEOに就任したのが張元基氏だった。

 この合弁事業が成功したかどうかは、評価が分かれるが、設立当時はサムスン電子にとっては重要戦略事業だった。エース級人材を出してきたと言われていた。

 その後、サムスン電子のLCD事業担当社長などを歴任した。さらにサムスン中国本社社長も務め、2017年に退任していた。

 その後2年間は「顧問」となり、サムスンから離れていた。