謝罪会見を開いたサムスン電子の李在鎔副会長(5月6日、写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 がちがちに緊張した様子で顔面を紅潮させながら謝罪を繰り返し、何度も90度に頭を下げる。

 韓国最大最強の財閥、サムスングループ3代目総帥である李在鎔(イ・ジェヨン=1968年生)氏が2020年5月6日、国民に対し謝罪会見を開いた。

 李在鎔氏の肩書はいまもサムスン電子副会長だ。2014年5月に心筋梗塞で倒れ、意識不明のまま入院生活を送っている李健熙(イ・ゴンヒ=1942年生)氏が「会長」のままだからだ。

5年ぶりの謝罪会見

 だから正式に就任したわけではないが、父親の療養長期化で事実上のグループ総帥役を務めている。

 サムスン電子の業績は父親が病に伏せった後も絶好調だ。

 2014年の営業利益は25兆ウォン(1円=11ウォン)だったが、その後2015年26兆ウォン、2016年29兆ウォン、2017年54兆ウォン、2018年59兆ウォンと急増、半導体ブームが一段落した2019年も28兆ウォンを記録した。

 しかし、事実上のグループ総帥としての李在鎔氏にとって、この6年間は苦難の連続だった。

 2015年6月23日、父親に代わって初めてグループを代表して会見に臨んだ。この時も「謝罪会見」だった。

 サムスンソウル病院で、中東呼吸器症候群(MERS=マーズ)の院内集団感染を引き起こしてしまったことについて、90度腰を折って謝罪した。

 この日は、李在鎔氏の47回目の誕生日だった。