6月12日、令和2年度版「環境白書」が閣議決定されました。注目すべき点が2点あります。
第1は、気候変動がすでに、セクシーなポエムなどではなく、全人類を含む地球上の生物全体の生存基盤を揺るがす「気候危機」の段階に到達しており、一見無関係に見える海洋プラスチックごみ汚染や絶滅種の増大といった現象が、互いに深く「気候危機」と関わっていること。
その結果「経済・社会システムや日常生活の在り方を変える「社会変革」が必要であるとしている点。
第2は、環境白書には書かれていないものの、グローバル気候変動が「気候危機」に達しているとし、それが多様な問題と関係があると指摘しながら、必ずしもパンデミック、つまり新型コロナウイルス感染症の世界的流行と「気候危機」との間の相関を明示してはいないらしいこと。
これはつまり、行政縦割りの産物であって、環境白書は環境省がカバーする分野に特化したホワイトペーパー、パンデミックは厚生労働省だから「ショバが違う」として、話を分けているものです。
まあ そういうものか・・・と徒手していてはいけません。
学校で教える教科の縦割りも同様の問題があり、例えば大学入試では「英語」は「英語」、「数学」は「数学」で教えられ、各々を生徒は例題の模倣でお勉強して試験を受け、合格したり失敗したりします。
しかし、世の中に出ると、英語だけ読んでいればよいという話は存在せず、英語で地球環境問題を考え、モデルの式を立ててシミュレーションして国際学会に登壇せねば仕事になりません。
また、ドイツ語でパンデミック対策を議論し、専門誌に投稿して物事を解決していくのはよくあることです。
つまり、世の中の「本当の課題」は、このような学際分野として存在しており、ちんまりと縦割り区分の中に納まってくれることなどあり得ません。
「気候変動も、パンデミックも、学際的な取り組みが必要だ」とまでは言えます。