米アマゾン・ドット・コムは6月10日、クラウドサービス事業の一環として、開発と販売を行っている顔認識・検出技術「レコグニション(Rekognition)」について、米警察による使用を1年間停止する措置を取ると、明らかにした。
米議会に規則の制定を要求
同社は声明で次のように述べている。
「当社は技術が倫理的に正しく使われるように政府がより厳格な規制を導入すべきだと主張してきた。最近、連邦議会がこの問題に取り組む準備を始めたようだ。1年間の停止措置は、議会が適切な規則を制定するのに十分な時間を与えるものと期待する。もし求めがあれば、支援する用意はいつでもできている」
この技術を巡っては、一部の株主がプライバシー侵害や人権侵害への懸念から、政府機関への提供を中止するよう求めていた。同社はこれまで「技術が誤用されているという報告は受けていない」と反論し、警察への提供を続けてきたが、今回方針を転換した。
顔認識技術への懸念とは
米ウォールストリート・ジャーナルによると、顔認識・検出技術は、白人に比べ黒人などの他の人種に対する識別の精度が低いと指摘されている。
米ミネアポリスで白人警官に取り押さえられた黒人男性が死亡した事件を受け、人種差別への抗議が全米に広がり、警察組織の改革を求める声が強まっている。こうした中、警察などの法執行機関による同技術の使用に対する懸念も高まっているという。