世論調査でも検察庁法改正案に反対の意見が多数で、安倍内閣支持率は、朝日新聞調査(5月16、17日)では、前回より8%下がって33%に、不支持率は6%上がって47%になった。NHK世論調査(15〜17日)でも、支持率が37%(-2)、不支持率が45%(+7)と、支持率と不支持率が逆転した。これは、一昨年6月以来のことである。

 新型コロナウイルス対策も不評なところに加えて、検察庁法改正案問題でダブルパンチを受けるのは、流石に政権にとって大打撃になると考えたのであろう。18日には、政府自民党は、検察庁法改正案を今国会では見送ることを決めている。

黒川氏の任期延長は安倍政権による「贔屓の引き倒し」

 私が厚労大臣だったとき、黒川氏は法務大臣官房の審議官などの役職についていた。その頃のことを回顧すると、厚労省は薬害訴訟などで国家賠償案件をかかえており、法務省と協議することがよくあった。黒川氏は、仕事もできるし、様々な問題に柔軟に対応できる優秀な官僚であった。

 それだけに、安倍政権に担がれ、脚光を浴びれば、それに反感を持つ者の反発や妬みも激しくなる。その油に火を注いだのが任期延長である。まさに「贔屓の引き倒し」であり、ある意味で、黒川氏は安倍首相によってトドメを刺されたと言ってもよいのである。

 今年1月に安倍政権が黒川氏の任期を半年延長した。それは、今の稲田検事総長が勇退を拒んだので、黒川氏を後任の検事総長に据えるためには、任期を延長するしかなかったからである。これで、歯車が狂い始める。