今回の突然ともいえるディアナンタ記者の逮捕について、地元警察は「同じような民族の対立を煽る記事を再び書く可能性がありそれを阻止する必要があった」と説明しているが、仲介にあたってきた報道協会は「ディアナンタ記者は協会や警察の事情聴取にも素直に応じるなどしており、いまさら逮捕するのは警察の過剰反応である」と警察批判を繰り広げている。

東南アジアでは100%の保証はない「言論の自由」

 東南アジアでは「報道や言論の自由」が100%保証されているわけではない。例えばタイでは国王や王族に関わる公式発表以外の報道は原則タブーとされ、そこに触れてしまった場合、最悪のケースになると「不敬罪」で刑事処罰の対象となる。

 またタイやミャンマーなど仏教徒が多数を占める国では、仏教高僧や仏教会など仏教に関係するタブーも厳然と存在する。そのため外国人観光客などが観光地の仏教遺跡で仏像に触れたり、仏教寺院敷地内に肌を露出した格好で入ったりすると、これも処罰の対象になりうる。

 それはインドネシアやマレーシア、ブルネイなどのイスラム教寺院、インドネシア・バリ島のヒンズー教寺院などでも同様で、そうした宗教施設に相応しい服装や態度、言動が求められることがある。

 そしてインドネシアでは、そうした宗教上の禁忌に加え、政治・経済・社会・文化のあらゆる分野で触れること、報道すること、話題にすることすら可能な限り控えなければならない「タブー」が存在する。