(福島 香織:ジャーナリスト)
2020年の中国経済のホットワードは「新基建」だ。
中国経済再稼働のブースターとして、新華社はじめ中央メディアが目下、大宣伝を展開する「新型基礎インフラ建設」政策、略して「新基建」政策。具体的には5G・産業インターネット・データセンター・AI技術などを支えるデジタルインフラ、新エネルギー自動車や自動運転のための充電スタンドをはじめとする次世代交通インフラの整備などを指す。
新型コロナ肺炎で世界経済が停滞する中、いち早くパンデミックを抜け出して新基建投資に外資を呼びこむことができれば、中国がグローバル企業の救世主として、ポストコロナの新たなグローバルサプライチェーンの主役になるやもしれない。
にわかに注目を浴びる新基建、習近平が号令
「新基建」の概念は2018年暮れの中央経済工作会議ですでに打ち出されていたが、今年(2020年)3月4日の中央政治局常務委員会会議で、「公共衛生サービスを強化し、応急物資の褒賞領域に資金を投入し、5G、デジタルセンターなどの新型基礎インフラ建設速度を加速せよ」という指示が打ち出されたことをきっかけに、にわかに注目を浴びるようになった。
4月1日には、習近平総書記が浙江省を視察した際に「産業のデジタル化が与えるチャンスをしっかりつかみ、5Gやデジタルセンターなどの新型基礎インフラ建設を加速し、デジタル経済、健康、新素材などの戦略的新興産業、未来産業をしっかり準備し、科学技術イノベーションを力強く推進し、壮大な成長点として新たな発展動力を形成せよ」と号令をかけた。
さらに4月20日に、国家発展改革委員会が記者会見で初めて新型基礎インフラの概念について明確化した。つまり、新型基礎インフラ建設(新基建)とは、情報ネットワークを基盤として デジタル化、スマート化、イノベーション融合などを実現するサービスインフラシステムを提供することだという。