(朴 承珉:在ソウルジャーナリスト)
5月2日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が姿を消してから20日ぶりに現れた。北朝鮮当局は同日、労働新聞と朝鮮中央テレビを通じ、順川リン酸肥料工場竣工式参加の記事と写真21枚、約15分の編集動画を公開した。
映像を見ると、金委員長は竣工式の会場でテープカットはもちろん、壇上に座った後も明るい顔で幹部らと笑って拍手を送る姿を見せているのが分かる。「金正恩氏重体か」「植物人間状態か」などと報じられていたが、誇らしげに満面の笑みを浮かべ、健康に異常がないことを全世界に誇示するかのようだった。
6年前にはカートで移動し、杖つき歩く姿も
実際この報道によって、多くの海外メディアはそれまでの憶測を一気にトーンダウンさせざるを得なかった。「元気に登場」「健康異常説を払拭」などのタイトルで、“金正恩健在”を報じていた。
金正恩委員長本人も、健康をアピールするためかいつも以上に笑顔を見せているような印象だったが、会場に入場する際の歩く動作に注目すると、少々不自然な歩き方に見える。足取りは重く、体の動きも鈍く見えるのだ。
ただ、金委員長の20日間の“ブラックアウト”の秘密は、あるシーンが物語っているかもしれない。それは肥料工場の竣工式の後に、同工場内を視察する際のシーンだ。金委員長は、与正氏を含む数名の幹部とともに12人乗りのグリーン色の「電動カート」に乗って敷地内を移動しているのだ。
実は同様のカートは、2014年にやはり金委員長が一時姿をくらまし、40日ぶりに姿を現した時も、写真の中に映り込んでいる。この時、姿を現した金委員長は杖をついていた。