香港のショッピングモールで反政府集会を開こうとするマスクをした参加者たち(2020年4月28日、写真:ロイター/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 香香港では、4月29日で4日連続、新型コロナウイルスの新たな感染確診者が出ておらず、そろそろ感染防止目的の「集会禁止令」が解除される頃かと市民の間に期待が高まっている。

 1月に新型コロナ肺炎が中国から持ち込まれて感染が拡大、3月29日には4人以上が集まることを禁止する「集会禁止令」が発布されていた。この新型コロナ感染拡大防止の集会禁止令を建前に、香港市民は政府への抗議デモ活動も封じ込められている。一方、市民がデモに参加できないのをいいことに、中国は香港に対してやりたい放題のことをやり始めているのだ。これを市民たちは黙って耐えていられるだろうか。

国家安全条例の成立を目論む中国政府

 4月26日夕、香港のパシフィックプレイスで、「あなたと歌おう」集会がネットで呼びかけられたが、300人ほど集まったところで警察によって強制排除された。

 これは集会禁止令が発布されて以降起きた、最初の“大規模デモ”と言える。

 ここの“あなたと歌おう”集会は、2019年の“反送中デモ”と同じく「五大訴求 欠一不可」「復興香港、時代革命」のスローガンを掲げており、新型コロナ肺炎の蔓延で否応なく中断されていた“時代革命”はまだ終わっていないことを香港内外に知らしめることにもなった。

 感染の危険を冒してまで彼らが集会を目論んだ背景には、中国が新型コロナ肺炎に乗じて、やりたい放題し始めていることへの危機感がある。