4月23日の銀座の様子。以前なら想像できないほどの人通りの少なさ(写真:アフロ)

(舛添 要一:国際政治学者)

 非常事態宣言から2週間以上が経過した。感染者も死者も増え、国民の間に危機感も高まってきた。外出禁止や営業自粛に応じる者も増え、渋谷、新宿のような大都市の盛り場では、大幅に人混みが減っている。人との接触を8割減らせという政府の要求を満たすまでには至っていないが、国民は予想以上に努力していると考えてよい。

 しかし、営業している他県のパチンコ屋に遠征していく者、海辺に出かけるサーファー、観光地にドライブする人々も数多く見られる。公園やスーパーなどはむしろ出かける人が増えているくらいである。

 このような状況で、5月6日に緊急事態宣言を解除できるのであろうか。すべては、これから10日間の感染者数の推移によるが、毎回指摘しているように、感染者数はPCR検査数次第でどうにでも変化するので、疫学的に正しい判断をするのは困難であろう。

クラスター対策一本鎗で、市中感染を軽視した責任

 政府の対策は、全てが後手後手で、今頃になってPCR検査を増やす方針に転換したが、すぐにはその体制が整わない。ドライブスルーのPCR検査も、江戸川区でやっと始まるようになったが、これも遅すぎる。

 世界に先駆けてドライブスルーのPCR検査を導入した韓国では、今や一日の感染者数が一桁にまで減っている。感染者数も死者数も、今や日本の方が韓国を超えている。クラスター潰しにのみ集中し、市中感染を放置してきた専門家会議や政府の責任は重い。