*写真はイメージです

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、ついに東京のほか、6府県に緊急事態宣言が発令される事態となってしまった。繁華街から人が消え、海外では都市封鎖、これまで見たこともない光景が広がっている。

 果たして、想像すらしていなかっただろうか。ウイルスを扱った映画はこれまでいくつかあり、そのどれもが危険性を示してくれていた。だが、多くの人は娯楽として楽しむだけで、真剣に受け止めていなかったのではなかったのではないだろうか。社会が混乱を極めている現在、改めて見てみると、作品がいかに有用だったか、気づかされる。「ちゃんと観ておけばよかった。もっと多くの人が観ていたらよかったのに」と悔やまれるばかりだ。

コロナ禍で専門家にも頼られる出演者たち

 接触によって感染する強力な新種のウイルスが中国から欧米、そして東京と瞬く間に広がり、死者が続出。といっても、これはコロナの話ではない。『コンテイジョン』(2011)のオープニングである。

『コンテイジョン』

 香港で元恋人と密会していた女性がアメリカの自宅に帰宅。彼女は咳と熱の症状がおさまらず、急死。一緒に住んでいた幼い息子も亡くなってしまう。残されたのは夫と10代の娘。その頃、フリーのジャーナリストが謎の連続死の原因を追っており、疾病予防管理センターの職員たちはウイルスの感染源を調べ、拡大を抑えようとしていた。さまざまな立場の人たちのドラマがドキュメンタリー・タッチで進行していくパニック・スリラー。

「人間は普通、日に2000~3000回、顔を触る。そのうえ、ドアノブ、蛇口、エレベーター、人の手を触る。それらが媒介物になって、感染は広がる」など、劇中、研究者が話す言葉は現在、私たちが毎日のようにワイドショーで見聞きしている内容とまるで同じ。さらに対処のために、学校を閉鎖しようとすると、役人たちから「親は働いているのに、誰が子供の世話を見るのか」と反対され、らちが明かない。ことの重要さにみんなが気づく頃には時、既に遅く・・・。