買いだめ映像で「安心して」と唱えるテレビの不合理

感染症報道で浮き彫りになる映像の影響力

2020.04.10(Fri)漆原 次郎
いまも多くの人びとがテレビ報道を頼りにし、影響を受けている。

 新型コロナウイルス感染症を巡る報道の仕方が問われている。特にテレビ報道は情報伝達の効果が大きい。「スーパーの棚に食料なし」の映像を流すことの悪影響と実害が憂慮される。

「一記事一義」になっていないニュース

 新型コロナウイルスの問題が深刻化する中で、テレビの報道・情報番組ではスーパーマーケットの棚からトイレットペーパーや食料がなくなっている映像が流れている。3月25日に小池百合子東京都知事が「感染爆発の重大局面」を表明した翌日、複数のテレビ局が「棚に食料なし」の映像を伝えていた。

 民放の夕方の情報番組では、次のような伝え方がされていた。

 キャスターが「私たちもどう報道するか、悩みながら検討を重ねています。みなさんにご安心いただくためにこの情報を伝えています」との旨を口頭で話す。一方で、映像ではスーパーでの「棚に食料なし」を映しだす。その後、中継スタッフがスーパー店員にマイクを向け、「在庫はたっぷりありますので、安心してください」といった話を引き出す・・・。

 報道者は、ニュースや記事を作るとき「一記事一義」を守るべきだろう。つまり、そのニュースや記事で伝えることはひとつに絞るべきであり、伝えたいことと異なる情報をを詰め込むべきではない。上記の報道では「在庫はあるから安心して」というメッセージが伝えたいことだったのだろう。「棚に食料なし」の映像を流すのは伝えたいことに逆行する行為だ。

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