それぞれの食材は、炭水化物、タンパク質、脂質など、さまざまな栄養素で成り立っている。

 私たちは健康や病気予防のために、エネルギー・栄養素をどう摂るべきなのか。どんな栄養素が過剰摂取気味、あるいは不足気味なのか。

 それらを考える指標となる「日本人の食事摂取基準」が、4月に改定される。そこで改定の機会に、「基準」の中身を見てみることにしたい。働きざかりの30歳代を題材とした。

5年おきに改定

日本人の食事摂取基準」は、厚生労働省が5年おきに改定し、公表するもの。「健康な個人並びに集団を対象として、国民の健康の保持・増進、生活習慣病の予防のために参照するエネルギー及び栄養素の摂取量の基準」という位置づけだ。

 必要な栄養素の量などを示した基準は、日本でも明治時代から作られていた。その歩みの中で1969(昭和44)年に厚生省(いまの厚生労働省)が「日本人の栄養所要量」を策定した。これが、5年ごとに改定され、名称も変わりながら、いまに至っているのだ。

1日の必要エネルギー量、30代男女とも50kcalアップ

 この4月から2024年度末まで使われる「日本人の食事摂取基準」を中心に、摂取量の変遷を見てみる。改定の前後で数値が劇的に変化することはほとんどないが、長い視点で捉えると移り変わりに気づく。

 1日あたりに必要とするエネルギーの量は、1970年度から徐々に高まっている。特に男性の上がり方は顕著で、1970年度の2400kcalからすると、2020年度は300kcalも高まることになる。