(花園 祐:上海在住ジャーナリスト)
「本能寺の変」の首謀者である明智光秀(あけち・みつひで)を主役にしたNHKの大河ドラマ『麒麟が来る』の放送が2020年1月より始まりました。歴史好きの人にとってはもはや常識ですが、本能寺の変で明智光秀が織田信長を裏切った理由は今もはっきりしていません。それだけに今回の大河ドラマで光秀が謀反へと至る過程がどう描かれるかは、視聴者にとって大きな楽しみの1つでしょう。
さて、この本能寺の変の動機に限らず、歴史においては様々なミステリーが存在します。今回は大河ドラマに便乗する形で、筆者が個人的に興味深いと思う日本史のミステリーを10トピック選出してみました。前編となる今回は、安土桃山時代までの5つのミステリーを紹介します。
【1】銅鐸は本当に楽器なの?
釣鐘(つりがね)状の形をして、原始時代の遺跡から出土することでおなじみの銅鐸(どうたく)ですが、その用途は大きな謎に包まれています。
その鐘のような外見から、吊り下げて内部または外部から叩いて鳴らすような楽器であったことは概ね類推されています。しかし、実は音を鳴らすには不向きな形状であり、また、装飾品として使われていたと思われる銅鐸も多数出土しています。この点については、時代や場所によって用途が異なっていたのだろうと現在は考えられているそうです。