ちなみに、すでに無罪判決が確定している前出の祖母の事件でも、大阪高裁の村山浩昭裁判官は溝口医師の脳のCTの読影能力に大きな疑問を投げかけていました。

『画像診断学の常識であるとまで言い切って、静脈のうっ滞、怒張が白く写ることはあり得ないと否定する溝口証言は、医学文献の記載と整合せず、CT画像の読影について、正確な専門的知見を有しているのか、・・・鑑別診断を正確に行うことができるのかにつき、疑問を禁じ得ない。その断定的な言いぶりに照らしても、自己の拠って立つ見解を当然視し、一面的な見方ではないかを慎重に検討する必要がある』

有罪判決を次々生んできだ科学的根拠に乏しい「仮説」

 なぜ、捜査機関は、保護者らを逮捕、起訴する前に、脳の専門家である脳神経外科医にも意見を求め、慎重に調べなかったのでしょうか。

 今回、高検に上告された母親の主任弁護士であり、「SBS検証プロジェクト」( http://shakenbaby-review.com/ )共同代表の秋田真志弁護士は、即日、次のようなコメントを発表しました。

『科学的根拠に乏しいSBS仮説に依拠した一部の医師のみの供述に基づき、自らの訴追の誤りを認めようとせず、あくまで有罪にこだわり続ける検察官の姿勢には、強い憤りを禁じ得ません。上告審においても、検察の誤りを徹底的に明らかにしていく所存です』

秋田真志弁護士(筆者撮影)

 そして、こう訴えます。

「これまで日本の検察庁は、起訴は立証が間違いない事件のみを慎重に行ってきたと述べて来たはずですが、そのような思い込みを捨てなければなりません。すでに関係機関は、SBS(揺さぶられっ子症候群)仮説をゼロから見直すことを義務付けられていることが明らかです」