この記事中で「M医師」として取り上げた溝口史剛氏(小児科)は、他にも複数の事件で検察側証人となっており、すべての事件で「揺さぶり虐待」を主張していました。そして、今年に入って、同医師が関わった以下の2件も相次いで無罪となっていたのです。

検察側が主張する「揺さぶり虐待」を否定する裁判所

●2月6日 大阪高裁にて母親に逆転無罪判決

 2014年12月、大阪市内で発生。生後1カ月半の女児が急性硬膜下血腫などの重傷を負う。母親は2歳半の兄が女児を誤って落下させた事故だったと説明したにもかかわらず、警察は「母親が殺意を持って我が子を強く揺さぶった」として殺人未遂容疑で逮捕。その後、傷害で起訴された。2人の子どもは児童相談所によって長期間保護され、溝口医師らの意見によって検察は有罪を主張。一審で母親は懲役3年執行猶予5年の有罪判決を受けていたが、大阪高裁は逆転無罪を言い渡した。

●2月7日 東京地裁立川支部にて父親に無罪判決

 2017年1月、生後1カ月の女児が突然ぐったりして呼吸が止まったことから、父親(43)が揺さぶり虐待を疑われ傷害致死罪で逮捕。父親は虐待など一切行っていないと供述していたが、検察は溝口医師らの意見によって「揺さぶり虐待」と主張し、懲役8年を求刑。一方、弁護側は「乳幼児突発性危急事態」(ALTE)などの可能性があり、SBS(揺さぶられっ子症候群)によるものとはいえないとして無罪を主張。裁判所は無罪判決を言い渡した。