これらの言葉は「米国の約束不履行によって、もはや核・ICBM開発を中断する根拠が消えた。だから、我々は再び推進する」という主張と解釈するべきだろう。
初めから北朝鮮に「核放棄」の考えなし
また党全員会議の報告を見ると、北朝鮮には当初から核を放棄する考えがなかったことを示すくだりが少なくない。
金委員長は、北朝鮮が保有する核兵器とICBMについて、「米国による核の脅威を制圧し、我々の長期的な安全を担保できる強力な核抑止力」と強調。「決して華やかな変身を望み、これまで命のように守ってきた尊厳(核・ICBM)を売り払うことはできない」とも語った。
金委員長はさらに「世界は遠からず、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が保有することになる新しい戦略兵器を目撃することになるであろう」とし、新型戦略兵器の公開が迫っていることを暗示している。「われわれは決して破廉恥な米国が朝米対話を不純な目的の実現に悪用することを絶対に許さない」とし、「これまでわが人民が受けた苦痛と抑制された発展の代価をきれいにすべて払わせるための衝撃的な実際の行動に移る」と警告して見せたのだ。
では、北朝鮮がいう「衝撃的な実際の行動」は何だろうか?
専門家らはみな、ICBM発射など強力な挑発の可能性を示唆したものと見ている。核実験とICBM発射に関するモラトリアムの約束破棄という分析が大半だ。直ちにモラトリアムを破棄することはないかもしれないが、これをレバレッジにして米国に揺さぶりをかけ、そこで北朝鮮にとってよい成果が得られなければ、最悪の場合、実際の行動に出るという意図と見られる。
もう一つ気がかりなのは、北朝鮮が予告した「新たな戦略兵器」の中身だ。これについて軍事専門家らは、新型核兵器の投発手段になる可能性が高いと推定している。
2017年11月に通常の軌道より高い軌道をとるロフテッド軌道で打ち上げられ、通常軌道での飛行ならアメリカを射程に収めるとされる「火星15型ICBM」を超えるミサイルで、昨年2回、東倉里(トンチャンリ)ミサイルのエンジン試験場で「非常に重要な実験に成功した」という発表内容をもとに、エンジンの推進力を大幅に増強させたものか、あるいは固体燃料である可能性が高いという見通しだ。燃料注入に時間がかかる液体燃料とは異なり、固体燃料ならば発射準備の時間が短く、奇襲性を高めることができる。あるいは「新たな戦略兵器」の候補として、新型潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)などを挙げる専門家もいる。いずれにしても、このような戦略兵器で日本列島領空を通過させ、太平洋に向けて発射するのではないかという見方も出ている。