ドイツ南部レラハの家庭の食卓に置かれる「ラクレット」。(筆者撮影)

 日本でも人気が高まっている「ラクレット」というチーズ料理。寒い冬にぴったりの、スイス人のソウルフードのひとつだ。だが、これはドイツ人にとっても無くてはならない家庭料理の定番である。

中世には既にあったスイス発のソウルフード

 年も明け、一段と寒さが増してきた。そんなときは、熱々のチーズの料理が食べたい。近頃人気が高まっているのは、「ラクレット」というスイスの伝統的な料理だ。チーズ料理としてよく知られるチーズフォンデュとは異なる。

 チーズフォンデュは、白ワインで煮溶かしたチーズに、串に刺したパンや野菜などをからめて食べるもの。一方、ラクレットは、半円形のラクレットチーズの断面を加熱して、溶けた部分を削り取り、ジャガイモやパンにかけて食べる料理だ。「ラクレット」は、「削る」という意味のフランス語の「Racler」に由来する。

 日本でもラクレットを出す店が増えており、メディアで紹介されることも多い。インターネットで検索すれば、大きなチーズのかたまりの写真とともにいくつもの店の情報が出てくる。

 いかにも専門店の料理という雰囲気だが、スイスではれっきとした家庭料理である。また、アニメーションの『アルプスの少女ハイジ』で描かれていた料理というとピンとくる人もいるかもしれない。おじいさんが暖炉の火でチーズの塊を溶かし、それをパンにのせてハイジが食べるというシーンがあった。とろとろと溶けたチーズがおいしそうだった。