ただし、これは水より比重の軽いプラスチックに絞った調査であり、ペットボトル繊維などは水より比重が重く海底に沈殿するため、この調査では採取できません。海底に沈殿するごみからマイクロプラスチックを分離し調査する手法は見つかっておらず、本調査は浮遊するプラスチックごみだけを対象に実施しました。

 本調査は、川崎市内の河川および港湾14カ所で実施しました(図3、表1)。海面調査は、川崎港の岸壁寄りの地点と岸から離れた海上で行っています。海面調査に加え河川調査も含めたのは、陸上からの流出経路を特定するためであり、主な河川の本流、支流および上流、下流を調査地点に含めています。また下水道からの流出の可能性も考え、下水道処理場に繋がる上流、下流地点も調査に加えました。

図3:調査地点マップ
拡大画像表示
表1:調査地点一覧

採取したサンプルからプラスチックを抽出

 本調査は、収集機を水中に沈めて、濾し取る方式のため、岸壁や橋上からの調査が可能です。河川調査、岸壁からの海洋調査には、特別な許可や申請は必要がないことを確認の上、順次実施していきました。海上調査に当たっては、川崎市港湾局に協力いただき、港湾局所有の巡視船(写真2)の船上から採取を行いました。

写真2:川崎市港湾局巡視船「つばめ」
写真3:収集機セッティング中の様子

 1カ所当たりの採取は、セッティング(写真3)から作業完了まで最大2時間程度かかります。調査員の確保や降雨などで当日の作業が中止になることもあり、14カ所の現地調査だけでも、2週間程度必要でした。