(文:内野加奈子)
2009年、カナダ・バンクーバー。15歳のミランダ・ワンは、社会科見学で訪れたゴミ処理施設で知ったプラスチックごみの現状に衝撃を受けた。
彼女が目にしたのは、再利用のために回収されたプラスチックのほとんどが、実際にはリサイクルされることなく焼却もしくは埋め立てられている、という現実だった。ワンが愕然としたその現実は、世界中のゴミ処理施設で起こっているプラスチック・リサイクルの実情だ。
「なぜリサイクルされないの? 何のために回収しているの?」
ゴミ処理施設で湧いた大きな疑問を拭い去ることのできなかったワンは、回収されたままリサイクルされないプラスチックを何とかできないか、その方法を探ることに没頭し始めた。
リサイクルが難しい多種多様さ
そもそもなぜ、回収されたプラスチックはリサイクルされていないのだろう。
世界では年間3億トン以上のプラスチックが生産されているが、そのうち実質的にリサイクルされているのはわずか10%、残り90%は焼却、埋め立て、もしくは自然界へと流出している(注1)。
(注1)「世界経済フォーラム」『The New Plastic Economy: Rethinking the Future of Plastics 2016』
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