③これは、上記2つに比較すると、マトモな半グレといえる。正業を持っている集団。あるいは、地下格闘技のような団体に所属し(していた)、ITベンチャーの若い社長などのボディーガード的な役割から、徐々にIT関係に詳しくなり、ビットコインのような取引、アダルトサイトの運営などで食っている小集団を指す。ただし、彼らは、「地下格闘技」などを通じて、①カテゴリーの半グレにもなり得る集団といえる。
④最後の元暴アウトローは厄介な存在である。近年、暴排条例の影響により、暴力団離脱者は増加傾向にある。しかし、職業社会に復帰して更生する人数は僅少だ。社会復帰できなかった、暴排条例の元暴5年条項で暴力団員等とみなされ、行き場のない彼らは、結局、覚せい剤の売買や闇金、オレオレ詐欺、下手をすると①カテゴリーの半グレの配下となったりして、悪事を重ねることになる。
この④カテゴリーの半グレ=元暴アウトローがなぜ厄介かというと、それは犯罪のプロである暴力団に所属していた過去があるからである。彼らは、そこで蓄積された人脈や知識を有するがゆえにプロの犯罪者といえる。
警察庁によると、2015年に離脱した元組員1265人のうち、その後の2年間に事件を起こし検挙されたのは325人。1000人当たり1年間に128.5人。これは全刑法犯の検挙率2.3人と比べると50倍以上になる。元暴のアウトロー化を否定できない現実がある。
半グレについて真剣に調査・研究する時期にきている
こうした性質が異なるグループを、十把一絡げにして「半グレ」とカテゴライズするから、一般の人には、どうも分かりにくい。反社集団としての対策も、①から④では、それぞれ異なったものとなる筈である。
溝口敦氏が「半グレ」という用語を用いた2011年、この年には全国で暴排条例が施行され、「反社」カテゴリーに含まれる裏社会への風当たりは強まった。そして、暴力団が旧来のように公然とシノギができないことから、半グレは様々な形をとって違法なシノギを行う人間を吸収してきた。
さらに、筆者が得た数々の証言では、暴力団と半グレのシノギは共有され、短い期間で、違う形態へと変異している。特殊詐欺ばっかりをマークしていると、その裏では違うシノギが新たに顔を出すというように、シノギは変化し続けているのである。
安心・安全な社会について考えるのであれば、いま、このタイミングで、新たな裏社会の住人として暗躍する「半グレ」について、真剣に調査・研究すべきではないだろうか。
元暴アウトローを生む現状、半グレのシノギの実態などに関する詳細は、筆者が来年の陽春の刊行を目処に、半グレ・メンバーの声をリアルに紹介する新刊を準備中であるので、ご期待頂きたい。