この半グレという不良集団は、以降、勢力を伸長させ、様々な問題を起こしている。筆者が2014年に助成金をもらって、暴力団離脱者の研究を行った時も、関西で様々な半グレと袖ふれあった。そして、2018年から2019年にかけて、福岡県更生保護就労支援事業所の所長として、老若男女の刑余者と接し、時代の流れの中で、半グレというものが、溝口敦氏が紹介した当時の姿とは異なってきているのではないかという疑問を有するに至った。

半グレの種類

 昨今、マスコミや新聞に書かれている「半グレ」像が、どうもズレているような気がする。10代の不良も、20代の青年も、40代の元暴も一緒くたにして、半グレと括るのは、ちょっと乱暴であり、大雑把すぎるのではないかという考えに至った。

 筆者が様々なフィールドにおいて面談し、見聞きした範囲から、半グレとは少なくとも以下の4パターンが存在するのではないかと考える。①旧関東連合や怒羅権(ドラゴン)に代表される筋金入りの半グレ(現在は30代から40代の年齢)。②オレオレ詐欺の実行犯(これは、昨今では暴力団の手先となっているケースが多いと聞き及ぶ)。③正業を持つ半グレグループ。④元暴アウトロー、4パターンである。

 最後の元暴アウトローは、暴力団を離脱したものの正業に就けず、違法なシノギで食いつなぐ者だ。

①関東連合や怒羅権に代表される半グレに関しては、これは暴力団になるのはちょっと面倒くさいが、十代の頃の暴走族やグレン隊の非行集団の仲間関係を引きずり、どちらかというと、暴力団に近い「準暴力団」的な活動(ミカジメや薬物関係、債権回収など)をシノギとしている集団。先述の溝口敦氏のいう「半グレ」がこれにあたる。

②に関しては、(少し反社がかった)一般人の若い人。カネが欲しく、真っ当に働きたくないが、暴力団や①カテゴリーの半グレにもなりきれない集団。年齢的にも10代から20代前半位の構成員で、比較的若い集団である。この集団が暴力団の走狗となってオレオレに加担する傾向がある。現在、筆者が保護観察などで扱う少年の多くが、このパターンである。

 ただし、このカテゴリーは、①カテゴリー「半グレ」の実行部隊として使嗾されるケースがあるようだ。①カテゴリーの構成員から「誰かこのシノギやる奴いないか」と言われ、「オレらがやります」といった具合でシノギの実行を請け負い、犯罪で得たカネの一部を上納する。もし、そのシノギでしくじったら、トカゲの尻尾切りで、逮捕、即退場となる使い捨てにされるグループ。業界では、彼らのことを「つまようじ」と呼ぶむきもある。先が曲がったら捨てようか――という、消耗品的な人材だからだ。

 2019年11月10日の静岡新聞に、<詐欺「受け子」枯渇か 外国人や女性、少年に移行 警察の包囲網強化で人材、資金不足>という見出しの記事が掲載された。この記事によると、「静岡県内で発生した特殊詐欺事件で『受け子』と呼ばれる現金やキャッシュカードの受け取り役が最近、首都圏の若者から、被害者の近隣などに住む少年や女性、外国人に移行する傾向が強まっている。背景には県警などの包囲網の強化で詐欺グループが人材と資金の不足に陥り、コストの削減を図りながら組織末端の『受け子』を賄う窮状が透けて見える・・・他県警が逮捕した受け子らに行った調査では、半数以上が約束された報酬を受け取っていないと回答。詐欺グループが末端を軽視している実情が浮き彫りになった」とあり、この最新の記事をみても、筆者の分類が肯定されている。