多発する悪質な「ながら運転」事故
しかし、悪質な「ながらスマホ」による事故の現実を見ていると、こうした厳罰化は当然の流れだと思います。
実際に、私が取材した事故の中には、加害者がスマホでLINE漫画を読みながら高速道路を走行し、前を走っていたバイクに気づかず、追突、轢過して被害者を死亡させたというケースがありました。
このドライバーは全く前を見ないまま、なんと444メートル以上も車を走らせていたことが分かっています。
このほかにも「ポケモンGO」などのゲームに興じながら死亡事故を起こすなど、「事故」とは呼びたくないようなケースが多数報告されているのです。
警察庁の統計によると、2018年、スマートフォンや携帯電話の操作などが原因で発生した人身事故は、2790件に上っています。そのうち死亡事故は45件発生しており、5年前と比べると約2.1倍に増えています。
交通事故自体は減少しているにもかかわらず、「ながらスマホ」に起因する重大事故が増しているというのは、まさに現代特有の新しい事故形態が生み出した大きな問題だといえるでしょう。
警察庁のHPに詳しいデータが掲載されていますので、ぜひチェックしてみてください。
「やめよう!運転中のスマートフォン・携帯電話等使用」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/keitai/info.html
警察はどこでどのように「ながら運転」を取り締まるのか?
さて、「携帯電話等使用(ながら運転)」 の取締り件数は、年間約84万件。道路交通法違反全体の14%を占めています。その年によって多少の上下はあるものの、「速度違反」「一時停止違反」と並んで、常に上位から3位以内にランクインしています。
では、「ながら運転」の取り締まりは、どこで、どのように行われているのでしょうか?
気になる「取り締まり」の実態について、元警察官にその方法について詳しく聞いてみました。
① 一般道の場合
道路の端や横断歩道橋の上などに、『違反行為を見る警察官』(A)を置き、その先に、『違反車両を停止させ、切符を作成する警察官』(B)を置いています。
(A)と(B)は「無線連絡」や「手を上げる」などの合図をすることで、互いに違反車両の違反状態を連絡し合います。
② パトカーや覆面パトカーの場合
パトカーや覆面パトカーで警ら中、違反行為を確認した際に、違反車両を停止させます。
③ 高速道路の場合
インターチェンジや料金所などに『違反を確認する警察官』(A)を置き、別の『停止・検挙担当の警察官』(B)と無線等による連絡をおこなって、違反車両を停止させ、検挙します。
では、「ながら運転」をしていて捕まったドライバーが、「自分は絶対に携帯やスマホを使用していなかった」と強硬に言い張った場合、警察はどのように事実を認めさせるのでしょうか。
これについての回答は以下の通りです。
「その場合、あくまでも一般論としてですが、携帯電話の着信歴、発信歴を確認します。スマホの場合には、LINEやメールなどの送信、着信などの使用歴、アクセス時間などもその対象です。こうした確認を行ったうえで説明をしますが、それでも最後まで否認する場合には、否認のまま違反切符を作成します」
嘘をついてもまずバレますので、無駄な抵抗はやめたほうがよさそうです。
なにより、「ながら運転」は、歩行者や他の車の発見の遅れにつながり得る、極めて危険な行為です。絶対にしないよう、気をつけてください。