トヨタが描く未来のモビリティ社会

 先にも述べたように、自動車を巡る次世代技術CASEの競争は激しい。中でも電動化は、他の3要素のベースになる技術であるため、自動車産業が真っ先に取り組まねばならない課題だ。当然、今回の東京モーターショーも、電動化が大きな焦点になっている。そこで各社のブースを、電動化の視点で読み解いてみた。

 まずはトヨタだ。

 意外にも、トヨタ自体が、「今年のトヨタブースは斬新すぎる!?」と、青海棟のブースを位置づけているように、主役は車じゃなくて「人」だった。「PLAY THE FUTURE」として、これまでの展示だけのブースから、「参加・体験型」のブースに大きくモデルチェンジしていた。プレスカンフェレンスで、豊田章男社長が「このブースには来年発売されるクルマは1つもありません」と言った通りだった。展示されている実車は、「e-Palette」や「トヨタe-4me」、「トヨタe-RACER」といった近未来のモビリティばかりだ。過去の「販売促進の場」ではまったくない。

 未来のモビリティ社会は、社会と街とつながり、モビリティは人に移動やサービスを提供する。モビリティは、共有するものと、より個人的に所有するものに分かれる。そういう近未来の社会を、実車を展示して体験してもらおうというのがこのブースのコンセプトだ。

【写真2】:トヨタの描く未来のモビリティ社会(東京モーターショー2019で筆者撮影)

 トヨタe-Paletteは、みんなで共有するモビリティである。東京オリンピック・パラリンピックに、自動運転により選手村を巡回するEVとして提供される。乗員20名で、全長5.2mだ(【写真3】)。ゆくゆくはe-Paletteがオフィスになったり、お店になったり、ホテルになったり、様々なサービスになって移動していく。

【写真3】:共有するモビリティ トヨタe-Palette(東京モーターショー2019で筆者撮影)