このように政府も少子化対策についていろいろ頑張ってはいるのですが、正直、効果は出ていません。合計特殊出生率の目標である「1.8」についても、最近はほとんど言及されることもなくなりました。数字は逆に下がってきているのが実態です。
逆に10月に誕生した安倍改造内閣で最近クローズアップされているのは、「全世代型社会保障」ですが、その中身は70歳まで働けるようにする環境整備や、現在、職に就いている高齢者への支給年金が減らされる月収の基準を47万円以上から月収62万円以上に引き上げて、できるだけ働く高齢者を増やすといった、どちらかというと高齢者向けの対策が取り沙汰されています。少子化対策、子ども向け対策、若者世代向け対策は「もう終わった」とばかりに後回しにされている印象です。
これでは日本の将来が本当に心配です。今、かなり思い切った少子化対策をしないと、極端な話、日本は消えてなくなってしまうかも知れません。実はこれは、どんな経済対策、どんな安全保障対策と比べても喫緊の課題だと思うのです。
80年後、日本は人口3000万人台の国に
日本の人口推移を長期のスパンで眺めてみると、明治維新の頃は3300万人くらいだったものが、その後急激に増え、1億3000万人近くになりました。ところが今後の推移については、低位推計だと2100年ごろには明治維新当時の水準(3000万人台)に戻ってしまうことになります。80年後には、日本の人口がそれなりの確率で3000万人台になってしまうのです。ついこの間まで1億3000万人近くいたわけですから、わずか100年ほどの間にその大半の1億人が消えてしまう計算です。
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西暦2100年に恐らく私は生きていませんが、私の子どもたちの世代は十分生きている可能性があります。彼らが生きているうちに、人口3000万人台の日本が出現する可能性があるわけです。これは絵空事ではなく、かなり現実的なシナリオなのです。