図2を見てください。赤い線で示された出生数の推移を詳しく見てみると、2005年に合計特殊出生率は1.26の史上最低の数字をマークしました。その後、若干ですが、数字が少し盛り返したものの、後述しますが、このままだと再び減少していくと言われています。
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出生率の若干の上昇に伴い、出生数も一時は若干上向いたのですが、その後はじりじり下がり続け、冒頭で触れたように、今年はついに90万人を割りそうです。一時的に出生数が増えていた時期があったのは、そこがちょうど団塊ジュニア世代が出産適齢期だったからです。私はまさにその世代にあたります。先述のとおり、同級生が210万人ですから、単純に言えば女性100万人以上いる世代です。その私は現在46歳。さすがに同年代の女性で出産する人は少なくなってきました。これからさらに、このボリュームゾーンの女性が子どもを産まなくなってきますので、合計特殊出生率も、全体の出生数も放っておくと下がり続けることが予想されます。
これは、日本にとってかなり深刻な問題です。
もう「金銭的インセンティブ」で出産を促すしかない
なぜ日本ではこんなに急激に出生数が減ってきたのでしょうか。さまざまな要因がありますが、私が注目している要因の一つが、「見合い結婚」の激減です。
日本では「男性が草食化したことが未婚者の増加、ひいては出生率の低下につながっている」と説明されることもあります。もちろんそうした説明にも首肯できる部分がありますが、実態的には、恋愛結婚の数は1970年代あたりから55~65万件の間を推移していてあまり減少していません。国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、一方で、かつては結婚の主流のスタイルだった「見合い結婚」が減っていき、特に1970年代に、それまでの40~50万件から、大きく落ち込みだしていることが分かります(現在は4万件以下)。
昔は、出会いの機会がない独身者に、職場の上司や親せき、周囲の世話焼きの人々が、「あの人はどうだ」「こういう人はどうか」と、適齢期の異性を紹介してくれました。そのお見合いのシステムはどんどん細り、いまは結婚全体の数%にまで落ち込んでいるのです。
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例えばフランスなどでは、結婚しないカップルが産む子ども、いわゆる婚外子が出生数全体の半数以上になっていて、これが出生数を押し上げる効果を発揮しています。フランスの場合、カップルが入籍という手続きを取らずに共同生活しながら子どもを育てる、というスタイルが公式な制度としても確立しています。
現代の日本では価値観も制度もそこまで達していません。今でも多くの人が想定しているのは、「結婚して出産」というスタイルです。順序として、「子どもが出来たから結婚」という、いわゆる「でき婚」は増えていますが、それでも「結婚」が出産の前提となっています。ということは、日本で少子化対策を打ち出す場合、結婚と出産をセットで考える必要があります。