殻が固い鶏の卵は、恐竜から受け継いだものだった

生物進化を食べる(第7話)鳥類篇

2019.10.25(Fri)大平 万里
鶏の卵の構造。上は産卵の直後の段階。下は発生が進んだ段階。

 まず、「黄身(卵黄)」は孵化までに必要な栄養分がすべて入っているところだ。タンパク質や脂質はもちろん、ビタミンやミネラルも過不足なく含まれている。

「胚盤」は発生が進む場所で、発生の過程で羊膜に覆われることになる。「胚」は卵黄の栄養を消費して成長してゆく。

「カラザ」は胚盤が同じ位置になるように保持するハンモックのような部分だ。「白身」は卵の乾燥を防ぐ保水タンパク質である同時に、抗菌物質も含み微生物の増殖を抑える働きもある。そして胚を物理的な衝撃から守る緩衝材の役割も果たす。

 そして、その外に「殻」がある。主成分は炭酸カルシウムで、細かな通気孔があり、水は通さないが外気は通す。細かく見ると、殻の内側に「卵殻膜(薄皮)」があり、水分の蒸発や微生物の侵入を効果的に防いでいる。

 以上のような構造をした卵の発生が進むと、卵黄は減ってゆき、胚は鳥らしくなってゆく。羊膜は発生が進んでも胚全体を包んでおり、排出物は「尿膜」という別の袋に貯められる。ともあれ、先に書いたように、この羊膜の内部で卵の大きさぎりぎりまで雛は成長し、そして誕生するのだ。

 こうした卵の特徴は、私たち人間の食材としてきわめて好都合である。まず、受精卵から雛をつくるまでの成分が完全に揃っているのだから、同じ脊椎動物のヒトにとっても栄養学的にほぼ完璧な食品ということになる。足りないのはビタミンCと食物繊維くらいである。

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