殻が固い鶏の卵は、恐竜から受け継いだものだった

生物進化を食べる(第7話)鳥類篇

2019.10.25(Fri)大平 万里

 石炭紀の両生類の個体発生の仕方については、分からないことのほうが多い。だが、おそらくは現在のカエルやイモリと同じように、水中で卵を産み、水中生活の幼生(オタマジャクシ)から徐々に変態し、陸上で活動できる成体になってゆくという流れが主流だったであろう。つまり、水辺のないところでは繁殖が難しいのである。

 そんな中、果敢にも陸上に卵を産むことを始めた脊椎動物が石炭紀後期に現れた。その名を「有羊膜類(ゆうようまくるい)」という。「羊膜のある動物」ということである。

 羊膜とは、発生途中の胚を乾燥する外界から守るための膜だ。陸上に本格的に進出するには、ガス交換を行いながら卵の中を乾かさないようにする構造が必要だったのである。

 両生類も脊椎動物ではあるが、その卵は水中に産卵されるので羊膜はなく、卵を水中から出せばみるみる乾燥してしまう。これでは、さすがに冒頭の命題の「卵」とするには無理があろう。

 一方、陸上に産み落とされた有羊膜類の卵は、まわりに水がないので、個体がある程度は陸上で自立して生きていけるだけの状態になってから孵化する必要がある。つまり、有羊膜類の卵は、一匹の個体を成長させるための装置や養分が内包されていなければならないため、大型化するのである。

 ただし、初期の有羊膜類の卵には、現在の鶏の卵のような硬い殻はまだなく、おそらくは湿った土中などに卵を産んだのかもしれない。しかし、曲がりなりにも卵の原型がおぼろげながらできてきたといえよう。

 そして、約2億8000万年前のペルム紀初期には爬虫類が登場し、ペルム紀末の大量絶滅をはさんで恐竜が大繁栄する中生代が始まる。化石などの証拠から、約2億5000万年前の中生代三畳紀には、恐竜の卵に硬い殻が備わっていたと考えられている。つまり、外見上はいまの卵とほぼ変わらないものができあがったということになる。

雛を成長させるのだから、優れた食材にもなる

 ここで、あらためて鶏を例にして卵の構造をおさらいしておこう。

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