経営リスクから考えるプロテアソーム

 人は窒息すると暴れますが、企業の窒息は金詰り、資金が循環しなくなると会社は倒産してしまいます。

 当てにしていたお金が入って来なくなったら、社長さんは金策に走り回らねばならないでしょう。つまり資金調達などの情報収集、平時からアンテナを張っていなければなりません。

 酸素呼吸に関して、細胞内で「資金調達」に困ると増加する「調達担当」が低酸素誘導因子(Hypoxia Inducible Factor=HIF)と呼ばれるたんぱく質です。

 このたんぱく質は、窒息していない通常状態でも存在しますが、そんなに数が多いわけではない。

 では最初からちょっとしかないのかというと、そうではなく作ってはいるんですね。しかし、作った端から分解している。

「プロテアソーム」という「壊し屋」たんぱく質分解酵素複合体が分解している。

「なぜそんな無駄なことをするのか。生命は最も賢く、無駄なく生きているのではないか?」と思われるかもしれません。

 でも、そうではないのです。何か変なことがあったとき、いつでも生産が間に合うように、部品に相当するものはコンスタントに準備していて、不要なら処分するというリスク対策、いわばセキュリティウエアとしてHIFは常に準備されているわけです。

 なぜといって、いつ私たちは突然窒息させられることになるか分からないから。

 あるいは酸素必要量が突然急激に増加するケースも動物の生活史と切っても切り離せないでしょう。